鉢植えの植物は、どの程度幸せなのでしょうか。
　これは、動物園にいる動物は、どの程度幸せなのか、という問いに似ています。

　今日の『一枚の映像から』に“根”が掲載されている≪オリヅルラン≫が、言葉をしゃべることが出来るなら、絶対に「不幸な目に遭わされていました。」と言うことでしょう。そんな目に遭わせたのは、私です。
　昨年度、私が赴任した時には、本当に元気のない、小さな≪オリヅルラン≫でした。職員室前の廊下、出窓の所に置いてありました。そんな、この鉢植えを部屋に取り込み、せっせと、ハイポネックスやら、固形肥料やらを与え、手塩に掛けることで元気になっていましたが、ある時から、あまり“育ち”が目立たなくなっていたのです。
　気になりながらも、半年程はそのまま放っておいたのですが、先日“植木鉢”が小さいのではないかとふと思いつき、植え替えを決行いたしました。
　その時の映像が、今日の可哀想な姿です。
　こんな窮屈な、苦しげな姿に、思わず「長い間、気付かずに、ゴメンな。」と、声が出てしまいました。土の部分がほとんどなくなってしまっています。“根”はどこに向かって伸びていったらいいのでしょうか。
　こんな様子じゃ、それ以上、育たんわな…。

　水分や栄養分は、絶対必要なものですが、生き物がのびのびと成長をする為の絶対的な条件は、その生き物が生活する場の“器の広さ”にあるのですね。
　人間も一緒やね…。
　成長し、より良く生きていくには、食べ物や運動や、お金も大切だけれども、我々を包む大きなフィールドが、もっと必要です。仕事も遊びも。物理的にも精神的にも。

　幸せな、鉢植えの植物を、育てていきます。

寺岡