

和坂のお話
むかしむかし、今はもう埋め立てられた和坂の二つ池の中に、蟹が岩という大岩がありました。ここには、
たいそう大きな大ガニが住んでいました。時々穴から蟹が坂の近所に出て来ては、旅人たちにわるさをして
は困らせていました。
折しも、弘法大師空海が諸国行脚の途中にここに立ち寄られ人々の難儀をお聞きになり、法力で大ガニ
を諭し池の中島に封じ込めてしまわれました。それから後は、大ガニの害は無くなったということです。
このことから、『蟹が坂』と江戸時代初頭の元和三年(1617)まで表示していましたが、後に『和坂』と改められました。
『和坂』と書いて読みは『かにがさか』でした。昭和四十年代に入ってから『和坂』を『わさか』と読むようになったということです。
お話の舞台となった『かにがさか』の『坂上寺(ばんしょうじ)』には今も、錫杖で蟹を押さえた大師像も立っ
ています。
