研究全体計画

 研究推進部会を中心に、本校の目指す授業や学級経営の在り方についての概要をお伝えします。

1 主題について

(1)主題

 主体的に取り組む子どもの育成
  ~思考を鍛え、感性を育む楽しい言語活動の充実~

(2)主題設定の理由

① 昨年度までの研究をふまえて
 本校における研究は、この主題による取組を始めて4年目をむかえる。昨年度は、大久保魂で居心地のよい学級づくりの基盤を作り、児童の思考を支援する板書や話し合いの深化、またふりかえり活動による学びの価値づけなど、重点項目を三点あげて取り組んできた。その成果として、自分の考えをもち、積極的に発言する児童や、自ら授業の価値を見出し、自分の考えが書ける児童が増え、主体的に学ぶ姿勢も育ちつつある。また、授業の展開においては、我々指導者が話し合い活動における児童の姿について、「意見に理由をつけて話したり互いの意見に関わりながら話したりする姿」「友だちの意見に反論したり共感したりしながら話し合う姿」などの、めざすところが明らかになってきた。さらに、「課題→話し合い→ふりかえりという一連の流れを意識した授業を組み立てられるようになった。」「論理的思考を促すような板書と発問を工夫するようになった」という声もあり、成果としてあげられる。しかし、研究授業後、「課題は適切であったか。」「少人数の話し合いの場面は適切であったか。」「ふりかえりの時間の確保が難しい。」などが話題に上がることもあり、課題設定や授業展開の工夫・改善の必要性がある。

② 地域の実態、保護者の願いより
 本校は、地域の土地開発により、ますます児童数が増加してはいるが、古くからの地域のつながりの中で見守られているところが大きい。本校の教育にも理解が深く、学校・地域・家庭が、同じ目的を持って児童を育てようという環境であることは、本校の大きな力となっている。昨年度末の保護者アンケートの結果、児童につけたい力として学習面では基礎学力が、生活面では自主性が、人間関係では思いやり・助け合う心が、それぞれ第一に挙げられている。学校生活の中で、コミュニケーションをはかり、自他共に育つ児童であってほしいというあたたかい願いが伝わってくる結果であった。

③ 学習指導要領の理念より
 平成23年4月から施行になった現学習指導要領では、「生きる力」の構成要素の一つである「確かな学力」を育成するために、「基礎的・基本的な知識・技能の習得」、「知識技能を活用して課題を解決するための思考力・判断力・表現力の育成」、「学習意欲の向上」「学習習慣の確立」が重要であるとしている。さらに、思考力・判断力・表現力等を育むためには、言語活動を十分に生かした指導が求められている。

 以上、①から③の理由をもって、本年度の校内研究主題は、引き続き「主体的に取り組む子どもの育成」と設定し、主題に迫るための手立てとして「思考を鍛え、感性を育む楽しい言語活動の充実」を副主題とする。
 「言語活動」という言葉は、その対象がかなり広範囲にわたるため、「思考力を鍛える」及び「感性を育む」という2つの視点から言語活動を探求してきた。その中で、「課題との整合性を意識して投げかけをすることで焦点化したふりかえり活動ができること」「キーワードや字数制限をすることで、的をしぼって端的に表現する力を引き出すことができること」「板書でカテゴリー化することで、視覚的に共通点や相違点を捉えることができること」などが明らかになってきた。これまで探求してきたことを活かし、楽しい言語活動のさらなる充実を図る。

2 研究の仮説

 学習やくらしを通して人・ものと積極的にかかわり、学ぶ楽しさを感じる機会を得ていく中で児童は互いの感性を引き出しながら、相手の思いに寄り添ったり自分の考えを見直したりしていくであろう。そこで思考の広がりや深まりを経験することができて新たな楽しさを見出し、自ずと主体的に学び取り組むようになる。

3 研究内容

(1) 思考力について
『論理的思考とは、AとBの間の関係・結びつき・つながりを見出し、一本の筋道を立てる思考操作である』

(2)感性について
 本校の研究では、思考を鍛える一方、感性も豊かにしたいという願いを持っている。思考を鍛えることと両輪で、感性が育まれるように言語活動を探求してきた。
一言で感性といっても、場面・教材・教科・発達段階によって、イメージすることはさまざまである。それだけに、人の根幹をつかさどる部分に関わるものが感性であると考える。
わたしたちがここで考える感性とは、大きく分けて2つである。
それは、「受信する力」と「発信する力」である。

受信する力には、3つ考えられる。
①感覚力・・・・・五感を通して感じるものに代表されることが多い。(視・聴・嗅・味・触覚)
②情報選択力・・・多くの情報から価値を見出し、感じ取る力をいう。(何に目をつけているか)
③本質把握力・・・物事の本質を見抜く力をいう。
・「○○についてどう思うか」  (主題について・人物について・人権について・命についてなど)
・「○○とはどういうことか」  (三態変化とは・等しい分数とは・これからの日本の産業は など)
・「○○なのは、どのようなところで、どのように」
(心を動かされたのは。好きなところは。楽しかったのは など)
また、発信する力には、2つあると考えている。
①創り出す力・・・有形無形にかかわらず新しいものを創り出す力をいう。
(○○新聞・○○リーフレットなどの紹介文・朗読・詩作・発想)
②表す力・・・表現の工夫などと駆使して自分のイメージしたものを表そうとする力をいう。
     (強調することば・言葉の選択・朗読の工夫・音楽づくり)

 一般には、感受性・表現力といったイメージの感性である。人は、生まれながらにして感性は持っているが、それに磨きをかけていくのが、教育の場であると考えている。児童は、授業で友だちをはじめとする多くの人の考え・存在にふれ、教材を介して新たな課題について学んでいく。この中で、上記の①~⑤に表すような、受信・発信を繰り返し、人としての感性に磨きをかけていくのだろう。そのためにも、児童の実態に合わせて教材を生かし、感性を育む場をしくむことは、大いに意義があるだろう。このことを意識して学びの場を作っていきたいと考えている。
楽しい活動の中で磨かれた感性は、いきいきと児童の中に根付くと考えるからである。

(参考)福島流 「感性を高めるためのヒント」
         感性をレベルアップしよう -感性の法則― HP

(3)楽しい言語活動の充実について
 学問や文化は知的財産として教わることで伝承されていく。小学校では、その学問や文化とどのように出会わせ、入門させるかが大きなカギとなる。「楽しい、もっと知りたい」という気持ちを育て、生涯いつでも続きを学びたいという意欲と、学んだことが「わかる」「できるようになってきた」という成果を残し、自信になることが楽しく学び主体的に取り組み続けようとする人づくりにつながると考える。最も大切なことは、学ぶに値する内容をどのように伝えるかであろう。

<参考資料>
 教科を広げたなかでは、ここまで具体的なものは使いきれないかもしれないが、参考にしながら思考場面を作っていきたい。

 

平成28年度 《重点研究課題》


①付けたい力を明確にした学習課題の設定

 学びの価値を高める話し合いをするためには、まず、付けたい力を明確にした課題の設定が欠かせないものとなる。児童の課題(問題)意識を高め、そこから解決の必要性のある学習課題を設定すれば、児童は自ずと考え、主体的に話し合って解決しようとすると考える。


②ふりかえり活動によって学びの価値を明確にさせる。

 学習課題(めあて)に対して、学んだことや獲得したことを認識する場を設定する。ふりかえりを書くことで1時間の学びを価値づけるのである。児童は主体的に学んだことを明確化することになる。教師は、子どもの言葉で授業が評価できる。
 

③児童の思考を可視化し、学びの価値づけを支援する板書

 児童の考えやその理由・根拠、考えに至るまでの筋道等を的確にとらえ、出された意見を分類しながら板書に整理したり、それを助ける資料等の提示を行ったりする。児童の論理的思考を促し、学びの価値付けの支援につながる。

 昨年度までの実践に加え、今年度は児童の意識と教科の特性に応じた学習課題(問題)を設定し、付けたい力を教師が明確に意識した授業づくりをしていくことで、話し合い活動の活性化やふりかえりによる学びの価値付けをねらう。それには教師の手立ての工夫が欠かせないものである。

(4)大久保魂について
 大久保魂を学級経営のベースとし、みんなで伸びる力を育てたいと考えた。各学年や学級の実態をこの5つの大久保魂という共通のフィルターを通して見る。その中で、個人や学級、時には、学年・全校の成長を取り上げ、それぞれの高まりを認め、ほめながら児童の力を伸ばしたい。そして、課題が浮かび上がってきたときには、どうすればよりよくなるかを児童とともに考えたい。3学期に大久保魂の花が開くように、1学期はみんなで力を伸ばしていくための種を植え、意識して大切に育てる。芽を出し、花を咲かせた大久保魂は実を結び、また次の学年の種となるだろう。学習の場、日常生活の場で大久保魂を児童とともに意識する。人を大切にし、とき・ものを大切にした落ち着いた学校生活の中で周りの人とつながり、主体的に伸びていく児童の姿をイメージし、学校生活における基盤としている。
 「自分の力をみんなの笑顔のために、役立てよう!」、「そのためには、何が大切だろうか。」、「何をすればいいだろうか」と感性を働かせて、主体的に価値ある取組に向かう児童の姿をめざしたい。そこには、価値ある新しいものを創り出そうとする創造的思考も欠かせないだろう。それが、筋道だったものとなるために、論理的思考力を活用するのである。