中庭物語

松が丘小学校の現在の中庭は四季を通じていろいろな生き物がやってきます。
春から夏にかけては、いろいろなトンボが、そして秋から春にかけてはいろいろな野鳥が遊びにきてくれます。
でも、その中庭誕生には、人工物囲まれ、自然のない明舞団地の中に、教科書に出てくる植物や生き物と出会える場所を創りたいという先生たちの思い、そしてその当時の6年生の力によって今に繋がる中庭が誕生しました。

大江雅先生回想録

昭和50年4月、松が丘南小学校が開校したのに伴い、松が丘小学校のプレハブ校舎は運動場の学童保育室のみになりました。中庭のプレハブ校舎が取り壊されました。この機会に、中庭を教材・資料園にしようとしたのです。松が丘小学校校区は、すべてと言ってもいい程人工物ばかりです。せめて教科書に載っている動物・植物がみられたらよいなあ、(春には「ふきのとう」「つくし」でてきて、たんぽぽの花が咲く……)夢は大きくふくらんだのですが、具体的にはどう進めるのかが問われました。一方、6年生の保護者の間では、4月の始業式以来、卒業記念品を何にするか、記念品料はいくら集めたらよいか、が話題になっていました。これまでの卒業記念品といえば、日時計、岩石園、気象観測露場、各教室の時計など、さまざまでした。6年生の担任達にも相談が持ち込まれましたが、即答できるはずがありません。相談の結果、6年生の児童の考えを聞くことにしました。卒業記念品だから、わたし達の力でできるものはないかと考えた。中庭に池を掘る。掘って出た土は、積み上げて山を造り、庭園のようにする。児童達の考えは、職員会議にもかけ、了承を得ると共に、先生方の意見も聞くことができました。池はどこに、どのように造るのか、山はどこにどうするのかなど、6年生全員に出来上がりの図を画かせ、投票によって、一応の完成図が出来上がりました。 石灰で池の位置、形、水路、山の図を中庭に画きました。 作業は、池を掘ることから始めました。 毎日々々こつこつと池を掘り、バケツでその土を山へと運びました。 池と水路は、石で囲むことにしました。石は、今田町で庭石を扱っている大西様にお願いし、丹波石をダンプトラック1台で運んでいただきました。(卒業記念品料は、この石になりました。)座りがよさそうで、大きさも丁度の石に、校是「緑の学校、褐色の子ども」(天津校長の筆による)を刻み、これを建てることにしました。この石を再度トラックに積み込み、安井石材店へ運んでいただきました。 池を掘った土を積み上げての山は、あまりにも低い山でした。高くするには土が足りません。そこで考えたのが、半分の山にし、その切り口に火山の模型図を画くことにしました。 児童の作業は、土を掘って山に運ぶことばかりでした。石を積んで石垣を造ること、その目地をぬることは、職員作業で進めました。 池や溝が掘られ、石垣も造られました。池の底には生コンを流し込みました。溝も生コンで固め、その上にモルタルを流して、卒業生一人ひとりの宝物(石、ガラス、焼き物など)を各自が自分の手ではりつけました。 池の水は底から側面に導き、さらに山の上へポンプで送水する。また、給水も山の上へするようにしました。山の上に導かれた水は滝を下り、小川を流れて池に入るように循環する仕組みです。 用務員の吉川さん、秋田さんには土を掘ること、石を動かすこと、配管、セメント作業など、本務の仕事のあい間に、また終業後に力をかしてもらいました。ポンプやモーターの手配、それにかわいいポンプ小屋も造っていただきました。 池、滝、小川ができたら、次は木や草の植え込みです。 各学年、各教科の教科書に載っている動植物を全部書き出してもらいました。その中から植栽できるものをえらびました。値の高そうな木は、退職していった先生方にお願いしてみました。市の緑化協会にも協力をお願いしました。 卒業式を前にして、一応完成を見ました。入学式には親に手を引かれ登校した児童は卒業式には親の手を引いて自分たちの成果を見てもらって学校を去る、という伝統を受けて、卒業式には、式の後、教室に帰って最後のお別れをし、待っていた親の手を引いて中庭一巡して学校を後にしたのでした。

そして今

ビオトープ整備
2010年、松が丘小学校の3年生とあかねが丘学園のみなさん(景観29回生)との自然観察会がきっかけとなり、松が丘小学校の池をビオトープ化することになりました。当時の池は鯉、アカミミガメ、ヒメダカなどの単なる「鑑賞池」で、管理状態が悪くヘドロが大量に堆積し、悪臭が発生していました。そこで「自然を愛し、生き物を慈しみ、やさしい街づくりに貢献する」という活動方針のもと、「いきものみまもり隊」が結成されました。そして、いきものみまもり隊のみなさんと松が丘小学校3年生が協力してビオトープに向け次のような活動が行われました。
 1.ヘドロ除去・水質保全 
   かいぼり・池周辺の清掃・循環ポンプの運転
 2.生物相の転換(外来種・改良種から在来種へ)
   外来生物の排除・在来生物の放流
 3.生物多様化促進(エサ・隠れ家・産卵場所)
   水生植物の植栽・石積み設置などの池の改造

そして現在もいきものみまもり隊のみなさんが「松っ子ビオトープ ふれあいの池」みまもってくださっています。
 こうした中庭への時代を超えた想いがつながり、自然いっぱいの「松っ子ビオトープ ふれあいの池」の周りでは子どもたちの歓声が聞こえています。

中庭のお友だち